エコー(超音波)による診断・治療

 エコー(超音波)検査とは、超音波の反射を利用して体内を画像化し、検査を行う方法です。
 超音波検査といえば、妊婦検診や内科検診での心臓や内臓の検査をイメージすることも多いと思いますが、整形外科の分野でも現在はレントゲンに加えて診断に取り入れられるようになりました。
 この検査は、なぜ痛みがあるのか、どうしてしびれがあるのかなど、その原因を探ることを目的として行います。骨以外にも、血管・神経・筋膜・筋肉・靭帯など、多くの組織を詳しく見ることができます。

エコー(超音波)による診断・治療

 

エコー(超音波)による診断・治療の特徴

●筋肉・靱帯・腱・神経などの軟部組織の損傷部位の確認や、靭帯や腱を動かしながら観察することで、損傷や回復の過程を目に見えて評価できる。

●レントゲンでは見つけられない微細な骨折やひびがわかり、骨折部の癒合の判定もできる。

●注射の際に、神経や血管などの位置を確認しながら行うことで、より正確に注射することができる。

●検査時に痛みがなく、被曝の心配がない。

●関節の炎症や、ケガによる損傷部位の炎症の程度が診断できる。

エコー(超音波)による診断・治療の特徴

 

エコー(超音波)を活用した治療

ハイドロリリース(末梢神経リリースや筋膜リリース)

 ハイドロリリースとは、薬液(主に生理食塩水と非常に少量の局所麻酔薬)を、筋膜や筋肉・神経周囲等に注入し、痛みに対して治療する方法の総称です。肩こりや腰痛の原因として、筋膜が癒着すると痛みが悪化すると言われています。これらの症状を改善するために、エコーで病巣部位を確認しながら筋膜に薬液を注射して癒着を剥がします。癒着が剝がれ筋肉の動きが良くなることで、痛みが解消されます。
 当院ではエコーで病巣を見ながらピンポイントで治療を行うため、より細やかな治療が可能です。

プロロセラピー

 プロロセラピーとは、高張ブドウ糖液を障害のある腱や靱帯、関節包に注入して意図的に炎症を引き起こし、自己修復能力を活性化することで損傷部位を回復に導いていく治療法です。
 テニス肘、膝蓋腱炎、アキレス腱炎、足底腱膜炎など、この治療の適応になる疾患は多いです。
 若年者、妊娠中、授乳中、糖尿病の方でも施行できます。

関節内注射

 関節炎や変形性関節症、肩関節周囲炎など、関節の中に痛みの原因がある場合には関節腔内へ局所麻酔薬などの注射を行います。手指の小さな関節や、癒着を起こしている肩関節などの場合、正しい箇所に注射をしないと注射後に痛みが増してしまうことがあります。針先の位置をエコーで確認しながら行うことで、正しい箇所にピンポイントで注射をすることができます。
 当院での関節内注射は、全ての方にエコーで関節の位置を確認しながら行っております。

神経ブロック

頚椎・腰椎・末梢神経から生じる神経痛に対して、局所麻酔剤およびステロイド剤を使用します。

 エコーにより、神経・血管・筋肉などの組織をリアルタイムに映し出すことができるため、目的とする神経やその周囲に薬液を注入することが可能です。

 この他にも、腱鞘内注射やトリガー注射、ガングリオンやベーカーのう腫の穿刺吸引など、全てエコーを用いて治療しております。